Prologue
ある日弁護士事務所を、地元で有名な博士が訪れた・・・
ハカセ
どうも初めまして、わしがこの辺で有名なハカセです!
ハカセ
今回わしは画期的な航空移動手段を発明してしまった。
それがこの「タケコプター」じゃ。
それがこの「タケコプター」じゃ。
ハカセ
体に装着するだけで自由に空中を移動できるスグレモノじゃ。
ハカセ
装着できるのは人の体だけではない。
例えば、ソファに装着すればみんなで座って旅をしたりもできる。
例えば、ソファに装着すればみんなで座って旅をしたりもできる。
ハカセ
今回は、このタケコプターを商品化するために、リスクとなる法律が無いか教えていただきにまいった!
先生
こんにちは、ご用件承知いたしました。
ところで、そこ、僕の席です・・
ところで、そこ、僕の席です・・
ハカセ
や! スマンスマン!
普段私も人から相談されてばかりでの、つい癖が出てしまったようじゃ!
普段私も人から相談されてばかりでの、つい癖が出てしまったようじゃ!
ハカセ
して、先生。この「タケコプター」はこのまま商品化してものかの?
先生
まずは、ポイントを整理してみましょう。
ここがポイント!
- タケコプターは「航空機に含まれるか」
- 飛行可能な範囲
先生
一つづつ説明していきますね。
タケコプターは「航空機に含まれるか」
先生
まず「航空機」に分類されるかどうかを知る必要があります
ハカセ
ほう、航空機に分類されるとどうなるんじゃ?
かっこいいし、できれば航空機と打ち出したいものだが…
かっこいいし、できれば航空機と打ち出したいものだが…
先生
制度的には、航空機に分類されてしまうとかなり大変です。
機体の登録、整備、検査、国土交通大臣の指示に従って航空する必要があるなど、さまざまな制約が課せられてしまいます。
機体の登録、整備、検査、国土交通大臣の指示に従って航空する必要があるなど、さまざまな制約が課せられてしまいます。
ハカセ
なるほどのう。
して、何を基準にして航空機と分類されるのじゃろうか?
して、何を基準にして航空機と分類されるのじゃろうか?
先生
航空法第2条に定義があります。
航空法第二条 1項 この法律において「航空機」とは、人が乗つて航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器をいう。
先生
飛行する機器であって、 「人が乗つて航空の用に供することができる」ことが条件となります。
タケコプターの場合では・・
タケコプターの場合では・・
ハカセ
わしのタケコプターは「乗る」ではなく、「装着する」ものじゃ。
人工の翼のようなものじゃのう。これなら航空機には当たるまい。
人工の翼のようなものじゃのう。これなら航空機には当たるまい。
先生
そうですね、「人の体に装着する装置」であれば、航空機には当たらないと思われます。
先生
ただし、「乗れるモノ」に装着して「飛べる乗り物」とした場合は航空機と解釈される可能性があります。
博士の例をお借りすると、タケコプターをソファーに装着して飛行する場合、「タケコプター付きソファ」を国土交通省への登録して、メンテナンスし続ける必要が出てくるでしょう。
博士の例をお借りすると、タケコプターをソファーに装着して飛行する場合、「タケコプター付きソファ」を国土交通省への登録して、メンテナンスし続ける必要が出てくるでしょう。
ハカセ
なんじゃと!? それでは用意していたCMが使えないではないか・・・!
いや仕方ないのう、人の体にのみ装着できるよう改良しておくことにしよう。
いや仕方ないのう、人の体にのみ装着できるよう改良しておくことにしよう。
先生
それが懸命かと。
ハカセ
ちなみに、「乗れる」こと以外に基準はないのか?
例えば、タケコプターはパラグライダーなどと違ってモーターを搭載しておるが、 これを理由に航空機扱いされたりはせんだろうな!?
例えば、タケコプターはパラグライダーなどと違ってモーターを搭載しておるが、 これを理由に航空機扱いされたりはせんだろうな!?
先生
現時点ではモータなどの動力によって 航空機と解釈されることはありません。 実際にモーター搭載のパラグライダーが自由に飛んでたりもします。
ハカセ
ほう、安心したわい。
タケコプターで飛べる範囲
先生
では、航空機ではないとされた場合の注意点を見ていきましょう。
先生
タケコプターが航空機ではないとされた場合、パラグライダーやハンググライダーと同様の法規制を受けることになるでしょう。
ハカセ
パラグライダーやハンググライダーは今どう規制されているんじゃ?
先生
まず、飛行できない範囲を知ることが重要です。
世界共通ルールに従って、国土交通省が指定する航空交通管制空域や、航空交通管制圏として指定されている空港等の周辺でも飛行することができません
世界共通ルールに従って、国土交通省が指定する航空交通管制空域や、航空交通管制圏として指定されている空港等の周辺でも飛行することができません
ハカセ
ふむ、面倒そうじゃが、あとで確認しておくとしよう。
他にも飛べない場所はあるのかのう?
他にも飛べない場所はあるのかのう?
先生
ドローン規制法にも制約される可能性があります。
国会議事堂や皇居など、重要施設の上空は飛行がやめておいたほうが良いでしょう。
国会議事堂や皇居など、重要施設の上空は飛行がやめておいたほうが良いでしょう。
ハカセ
ドローンじゃと? タケコプターは有人飛行じゃぞ?
先生
実はドローン規制法では下記の特定飛行用機器も規制しているのです。
タケコプターだと、四に当てはまりそうですね。
タケコプターだと、四に当てはまりそうですね。
特定飛行用機器
- 操縦装置を有する気球
- ハンググライダー(原動機を有するものを含む。)
- パラグライダー(原動機を有するものを含む。)
- 回転翼の回転により生ずる力により地表又は水面から浮揚した状態で移動することができ、かつ、操縦装置を有する機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるもの(航空法第2条第1項に規定する航空機に該当するものを除く。)
- 下方へ噴する気体の圧力の反作用により地表又は水面から浮揚した状態で移動することができ、かつ、操縦装置を有する機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるもの
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/heion/drone.html
ハカセ
そうじゃったか・・
注意書を同封して、利用者の善意に任せるほかに無かろうな。
注意書を同封して、利用者の善意に任せるほかに無かろうな。
先生
また、規則上フライトをしてよい空域でも、場所により上限高度と下限高度が定められていてこの範囲内で飛行する必要があります。さらに有視界であることが飛行可能な条件となるようです。 (文献調査中)
タケコプターが飛行できる空域
高度 1,000フィート(300m)以下の空域
- 飛行視界が 1500m以上
- 雲から離れて飛行出来、かつ、操縦者が地表又は水面を引き続き視認できる
高度 1,000フィート(300m)以上、10,000フィート(3,000m)未満の空域
- 飛行視程が 1,500m 以上
- 垂直距離が上方 150m、下方300m範囲に雲がない
- 水平距離が 600m 範囲に雲がない
高度 10,000フィート(3,000m)以上
- 飛行視程が 8,00m以上
- 垂直距離が上下方にそれぞれ 300m 範囲に雲がない
- 航空機からの水平距離が 1,500m 範囲に雲が無い
参考: http://www.g-v.jp/paraglider/flight_control.html
先生
例えば、雲の中はタケコプターでは飛行できないことになります。
ハカセ
それは残念じゃのう・・
タケコプターに乗って雲を食べて見たかったわい・・
タケコプターに乗って雲を食べて見たかったわい・・
先生
ひとまず、私が把握できる限りではここまでですね。
商品化するなら、ぜひ何より安全への考慮をお願いします。
航空法による検査や証明が不要な分、発売者への責任はより重くなると思ってくださいね。
商品化するなら、ぜひ何より安全への考慮をお願いします。
航空法による検査や証明が不要な分、発売者への責任はより重くなると思ってくださいね。
ハカセ
承知したわい! 今回は助かった!
先生
ところで、タケコプターって・・
この小ささで、どのくらい飛行できるのですか?
この小ささで、どのくらい飛行できるのですか?
ハカセ
原子力発電と太陽光発電をハイブリッドで活用した最新鋭の自己発電バッテリーを使っとる。
5km/l 飛行機の燃費 燃料ウラン5g(石油 約10KL=タンクローリー1台分)のエネルギーで
丸一日は飛行できるじゃろう。
5km/l 飛行機の燃費 燃料ウラン5g(石油 約10KL=タンクローリー1台分)のエネルギーで
丸一日は飛行できるじゃろう。
先生
もしかすると、これ放射性物質取扱の議論も必要かもしれませんね・・
参照
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S27/S27HO231.html
http://www.jballoon.jp/safety/handbook/indivisual/3-5-1koukuuhou.pdf