アメリカ人の女性が、スターバックスを相手取り損害賠償を求める訴訟1を起こしたことがあった。飲み物の量がサンプルよりも少なく、氷が多すぎるという主張をしたものだった。
女性は、「スターバックス側が広告にうその表示をしている。そのため、その広告の表示は、消費者に対する詐欺ではないのか」と主張していた。なんとこの裁判で、彼女が求めた損害賠償請求額は、日本円で約5億4000万円だった。たしかに、日本にもクレーマーと呼ばれている部族はいます。しかし、日本人でここまでの抜きん出た行動を起こす人はいません。
アメリカの事例は、やりすぎた行動のように感じます。しかし、サンプルと実際の商品が違うという状況は、アメリカだけではなく日本でもあります。たとえば、パンフレットで見て注文した家電製品や、おもちゃ、食材などです。
しかし、違う商品が来ても日本人の大半は、そのままにしておきます。
なぜでしょう?
それは、サンプルと実際の商品が違うという状況がおこった場合に、自分にどのような権利があるのかを知らないからです。ですので、今からどのような権利があるのか見ていきましょう。
サンプルと実際の商品が違う時の権利
買い物しようとしたとき、目的の商品を自分の目で確認できないことがあります。そんな時、サンプルを参考にして目的の商品を買うことはめずらしくはないでしょう。
民法566条1、民法570条2によるとお店側は、サンプルの品質や中身を保証しなければならない。消費者はサンプルと目的の商品とが違うものの場合は、拒むことができます。
お店側は、サンプルに見合った商品を提供しなければ、代金を請求できません。では、サンプルに見合った商品かどうかを判断する基準とは、いったいどのようなものでしょうか?
明らかな答えとして、消費者の主観ではありません。具体的には、買うときに結んだ手続きの内容や、商品の性質等、いろいろな証拠によって判断されるものです。
足を運んで商品を見て、目的の商品を買ってもトラブルが起きます。パンフレット越しの買い物は、ましてなおさらトラブルが起こります……
そんなときは、自分にどのような権利があるか考えてみてください。