大人の法律

ハプニングバーに行く前に知るべき法律リスク 本番行為の法的危険

世の中には現代の魔窟と呼ばれている場所があります。 その名も、ハプニングバー。

このハプニグバーに一度は行ってみたいと思っていても、法的に大丈夫なのか不安で躊躇している人たちもたくさんいるでしょう。 その人たちのために、今回ハプニングバーという構造は法的に問題ないのかどうか、安心してハプニングバーに行くためにはどうすればいいか、明らかにしていきます。

ハプニングバーという店の違法性

ハプニングバーには長い歴史とともに、様々な種類があります。女性の着替えを覗いて楽しむものや、本番行為を楽しむものまで。。最近はハプニングバーといえば、本番行為(=セックス)にまでおよぶものが一般的でしょう。
さて、このようなハプニングバーの業態は合法なのでしょうか。下記の二つの事例をご覧ください。

東京都内のハプニングバーで、ほかの客に見えるようにわいせつな行為をしたとして、宮内庁職員の50代男性が公然わいせつの疑いで警視庁に現行犯逮捕。さらに店の経営者と従業員も公然わいせつのほう助の疑いで逮捕された。「ハプニングバー」で宮内庁職員を逮捕、なぜ「公然わいせつ」になったのか?

台東区上野のハプニングバー「KUNKUN」を経営する平松秀土容疑者(36歳)ら3人を、公然わいせつほう助の疑いで逮捕した。年弱で売り上げ3億!? 摘発されたハプニングバーはどんな店だったのか?

この二つの逮捕事例を見ると、いずれもハプニングバーの経営者と従業員が公然わいせつほう助の疑いで逮捕されています。店の中にいたお客さんも数名公然わいせつ罪の疑いで逮捕されています。
一部のハプニングバーではわいせつ行為の発生により逮捕される可能性があるようです。

しかし、ハプニングバーが、違法な店であるという可能性を理解していても足を踏み入れてみたいと思う人もいるかもしれません。本番行為までできる風俗として、社会勉強として、目的は様々でしょう。

実際、下記のようにすればハプニングバーに行っても捕まらないと言った情報が流れており、それを頼りに本番行為を楽しんでいる人たちもいるようです。

法的にセーフとされるポイント

  • 本番行為に及んでも少数で会員制ならセーフ
  • 本番行為に及んでもパンツを脱がなければセーフ
  • バーとして利用するだけならセーフ

果たしてこれらの見解は正しいのでしょうか。 本当に捕まらないで済むのか検証してみました。

公然わいせつについて

刑法の174条に、公然わいせつについての記載があります。

公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役や30万円以下の罰金や拘留、科料にあたる。

公然わいせつを読み解く上で重要なことは、公然わいせつの定義を理解することです。

ただ、、公然わいせつの犯罪は、あまりにも多く、一部常軌を逸脱しているケースもあるため、一義的な定義を公然わいせつにに当てはめるのは難しいかもしれません。 もし仮に定義付けするとしたら下記の定義になるかもしれません。

公然とわいせつ

  • 公然とは、不特定の人や多数の人に。
  • わいせつとは、性器を露出すること。

公然わいせつ罪とは、公然わいせつのどちらにも該当する場合に刑罰が課されます。 今回の論点の場合、公然の定義をより細かく見ていくことで一つの結論が考えられます。

公然の定義をより細かく見ていくと、不特定と多数という言葉に分けることができます。公然は、この不特定または多数のどちらか一方に該当することで公然であると考えられています。 これを前提に今回の論点である、「ハプニングバーが少数で会員制ならば法律に触れないのではないのか」ということについて考えていきましょう。

 

本番行為に及んでも少数で会員制ならば大丈夫?

まず、今回の論点においてポイントとなるのは不特定または、多数のどちらかに該当しているかということです。 突然ですが下記の会員制バーの逮捕事例を御覧ください。

警視庁保安課が、公然わいせつ幇助の疑いで逮捕したのは、会員制ハプニングバー「Dark Night(ダークナイト)」の経営者、青木大輔容疑者(34)と従業員の男女2人。客の男女7人も他の客にわいせつ行為を見せたとして、公然わいせつ容疑で現行犯逮捕し、2人を書類送検した。昼間から男女50人がくんずほぐれつの酒池肉林 とんだハプニングバー摘発

上記の逮捕事例のように、店側が会員制にすることで「限定的空間を作り出し不特定を特定にしよう」と考えました。しかし、店側が限定的空間を作り出したと考えても、法的には 「会員制でも不特定の人が来店する可能性がある」と考えるので公然に該当し逮捕されました。

このことから少数の会員制だとしても、会員制が不特定に該当しているため違法と考えることができます。

本番行為に及んでもパンツを脱がなければ大丈夫?

ここでのポイントは、性器を露出したかどうかです。 公然わいせつの定義でわいせつについて下記の定義をしました。

  • わいせつは、性器を露出することをいいます。

つまり、性器を露出しなければ公然わいせつ罪に該当しないと考えることができます。この考え方からして、今回の論点「セックスに至ってもパンツを脱がなきゃいいのか?」 は合法となるのでしょうか。

 

答えは違法です。性器を露出していない場合でのセックスは、公然わいせつ罪ではなく軽犯罪に該当します。 軽犯罪法1条20号に下記の記載があります。

公衆の目に触れるような場所で公衆に嫌悪感を抱かさせるような方法でしり、ももなどの体の一部をみだりに露出した者はこれを拘留または科料に罰する。

本番行為に及んでもパンツを脱がない場合でも、性器以外の身体の一部を露出する行為は軽犯罪に該当する可能性があるということです。

バーとして利用するだけなら大丈夫?

ここでのポイントは、公然わいせつ行為に関わったかどうかが重要です。 ここでいう公然わいせつ行為に関わるとは、本番行為の主犯または本番行為を助長したかということです。 本番行為に及んだ主犯であれば、先に述べたように公然わいせつ罪軽犯罪に該当します。 自ら本番行為に参加せずに他人の本番行為を助長した場合は、ほう助罪に該当します。

ほう助罪にあたる具体例として下記が挙げられます。

助長のいろいろな具体例

  • 本番中の動画や写真の撮影
  • アダルトグッズを貸す行為
  • 本番行為を促す行為

これらの具体例に該当している場合、バーとしての利用と主張したとしても、ほう助罪に該当する可能性があります。 ほう助罪は刑法61条、62条、63条に記載があります。

  • 人をそそのかして犯罪を実行させた者には、正犯の刑にあたる。
  • そそのかした者をそそのかした者についても、正犯の刑にあたる。
  • 正犯を助けた者は、従犯とする。
  • 従犯をそそのかした者も、従犯とする。
  • 従犯の刑は、正犯の刑より減軽する。

興味本位で行っただけでも、その場の空気によって巻き添えになることもありえそうですね。

それでもハプニングバーに行きたい場合

このように、ハプニングバーには多くの法的リスクをはらんでいます。違法性が明らかな場合、ハプニングバーに行かないことをお勧めします。

それでももし、ハプニングバーに行きたいのであれば、
セックスしない他人のセックスにも干渉しないただひたすらに酒を飲むといった楽しみ方であればある程度安心かもしれません。

…必ず、パンツは履いておきましょう。

参照

「ハプニングバー」で宮内庁職員を逮捕、なぜ「公然わいせつ」になったのか?

年弱で売り上げ3億!? 摘発されたハプニングバーはどんな店だったのか?

昼間から男女50人がくんずほぐれつの酒池肉林 とんだハプニングバー摘発

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