仕事

日本人がアメリカでカジノ 合法扱いされる理由とは?

Prologue

旦那が出張でアメリカに行ってきた。ワタナベさんは、帰ってきた旦那からカジノでギャンブルをしてきたという話を聞き、慌てて弁護士事務所に駆けつけた。ワタナベさんの心配とは・・

ワタナベ

すみません、相談があるのですがよろしいでしょうか?

先生

どうされました?

ワタナベ

夫がアメリカでギャンブルをしてきたのですが、これって犯罪ですよね??
証拠も残っているようですし、夫に自首を進めようか迷っております。
どう進めたら良いものでしょうか?

先生

なるほど。事情はわかりました。
ではいくつかポイントを整理しましょう。

先生

ポイントを整理してみましょう。

ここがポイント!

  • カジノが違法な理由
  • 日本の法律は海外でも適応されるのか
  • アメリカでの賭博規制

日本でカジノが違法な理由

先生

旦那さんがギャンブルをしたことは間違いないんですよね?

ワタナベ

恥ずかしながらそのようです。普段も競馬やパチンコが趣味な人なので。

先生

ではまずはギャンブルの違法性を確認してみましょう。
ワタナベさんのご認識どおり日本でのギャンブルは明確に違法です。刑法185条、186条に規定があります。

  • 賭博をした者は、50万円以下の罰金または1000円以上1万円未満の罰金にあたる。
  • 常習として賭博をした者は、3年以下の懲役にあたる。
  • 賭博場を広げ、または賭博仲間と協力して利益を出した者は、3月以上5年以下の懲役にあたる。
ワタナベ

最大50万も罰金が発生するんですね・・・
夫はカジノで20万も負けたみたいで、これ以上の出費が発生するようだったらどうしましょう!
子どもたちの学費のためにも、離婚して慰謝料ふんだくってやろうかしら!!

先生

ワタナベさん、安心してください。
結論から申し上げて、上で紹介した日本の法律は、アメリカでギャンブルしたとしても適応されません。

ワタナベ

本当に!?
こんなにちゃんと法律に書いてあるのに大丈夫なの?

国外犯規定

先生

アメリカでギャンブルをしても日本の法律に問われない理由は、国外犯規定にあります。

ワタナベ

なんですか国外犯規定って?

先生

そもそも国外犯とは、日本人が外国でした犯罪のことです。
これに関する規定が国外犯規定です

先生

原則として、海外では日本の法律に従う必要はありません。
しかし、国外犯規約だけは海外でも有効な法律です。
たとえば法律が無いような国に行ったとしても、日本人として守らなくてはならない最低限のルールがあるというイメージですね。

先生

日本人が海外に行った場合、現地の法律 + 国外犯規定に問われることとなります。

ワタナベ

じゃあ、日本のルールを海外で破った夫はどうなってしまうの?
原則としては、アメリカで大丈夫なら大丈夫ってこと?

先生

その通り、原則としては、現地の法律に従っていれば良いです。
国外犯規定では、刑法3条で下記の行為を禁止しています。

この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国民に適用する。

…<省略>…

  • 建物などへの放火の罪
  • 建物などを水びたしにして損害を与える罪
  • 私文書偽造、虚偽診断書作成、偽造私文書行使と電磁的記録を不正に作り出すこと、また使わせた罪
  • 私印偽造と不正使用などの罪
  • 強制わいせつ、強姦、準強制わいせつと準強姦、集団強姦、未遂罪、強制わいせつ致死傷、重婚の罪
  • 殺人の罪
  • 傷害と傷害致死の罪
  • 業務上堕胎と同致死傷、不同意堕胎、不同意堕胎致死傷の罪
  • 保護責任者遺棄の罪と遺棄致死傷の罪
  • 逮捕と監禁、逮捕致死傷の罪
  • 未成年者略取と誘拐、営利目的略取と誘拐、身の代金目的略取など、所在国外移送目的略取と誘拐、人身売買、被略取者所在国外移送、被略取者引渡しなどの罪
  • 名誉毀損の罪
  • 窃盗、不動産侵奪、強盗、事後強盗、昏酔強盗、強盗致死傷、強盗強姦、強盗強姦致死の罪
  • 詐欺、電子計算機使用詐欺、背任、準詐欺、恐喝、未遂罪の罪
  • 横領の罪
  • 盗品譲受けなどの罪

刑法3条

ワタナベ

これらに該当しない限りは、海外で日本を気にする必要は無いのね?
ギャンブル・賭博は・・よかった書いて無いわね。
それでさっき先生は大丈夫だといっていたのね。

先生

その通りです。
賭博罪は国外犯規定にないので、国外犯規定は適応されません。

先生

ただし、確実に大丈夫だと判断するには、最後にもう一点確認する必要があります。

アメリカの賭博規制

先生

最後にもう一点、アメリカの法律を確認してみましょう。
アメリカ合衆国では、特定の州の法律でカジノが合法とされています。
具体的な背景は、アメリカ合衆国におけるカジノ規制法制に記載されています。

ワタナベ

特定の州で合法ってことは、ほとんどの州では違法ってこと?
ああ! 夫はアメリカの警察に逮捕されるかもしれないのね!!

先生

それを判断する前に合法化されている州を見てみましょう。
ミズーリ、コロラド、ルイジアナ、ミシシッピ、ミシガン、ネバダ、ニュージャージーなど、かなりの州でカジノは合法なようですね。

ワタナベ

夫が行ったのはラスベガスのカジノだから・・・ネバダ州ね!!
良かった!合法じゃないの!

先生

良かったです。
すべての州でカジノが合法化しているわけではありませんので、 もし今後またアメリカでカジノに行くときは、州ごとにカジノでギャンブルしても大丈夫なのかどうか法律を確認しておくとよいでしょう。

ワタナベ

ありがとうございます!
夫には20万の損害だけ問い詰めてやろうと思います!

先生

旦那さん、大変そうだな・・

Epilogue

その後、ワタナベ夫妻はラスベガスのカジノに毎年足を運ぶようになった。

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